醸造蔵の中を杜氏がご案内します。
酒造りの現場をご覧いただくことで、
日本酒の奥深さをご体感いただければ幸いです。
酒造りで使用する木桶や木製の甑(こしき)の製造・修理には、熟練した技術が必要です。しかしその技術の継承は、苦境を迎えています。
木桶製造業者として全国に知られる、大阪・堺市の株式会社藤井製桶所様が、残念なことに、間もなくその業務を終えられます。三年前にこの知らせを受けて、木製の桶や甑を使用する酒蔵には、衝撃が走りました。
弊社では、藤井製桶所様が製造した日本最大級の甑を使用しています。このため技術の一部を習得する目的で、酒蔵大工や醸造蔵の若手社員を派遣して、指導を受け始めました。
そして、このたび弊社の隣に位置する西條鶴醸造様が、蔵に保管していた古い木桶を修理して、部分的な木桶醸造の復活を目指されることになりました。
西條鶴醸造様では蔵の修理も同時に進めるため、木桶を弊社に運び、藤井製桶所様の指導のもと、持ち込まれた7つの木桶を調査しました。その結果、いくつかは木桶の本体部分の木材をそのまま使えることが分かりましたが、木材を固定する竹製の箍(たが)の交換が必要でした。
箍の交換は、藤井製桶所様の指導を受けながら、弊社社員たちが行いました。
修理の終わった木桶は、その大きさもさることながら、古い木材の風格が映える、たたずまいです。
今回の木桶修理プロジェクトは、甑を使用している弊社にとっても、技術を継承できる大切な機会となりました。西條鶴醸造様、ご指導いただいた藤井製桶所様に心より御礼申し上げます。
※この木桶は展示用として西條鶴醸造様から譲り受けたものです。