米麹の存在が明らかになる前は「麹室」に酒の神が宿っていると考えられていました。
今でも杜氏、蔵人が情熱を注ぐ神聖な場所に変わりはありません。麹室は、外の冷気を遮断して麹菌の生育に適した約30℃に保たれています。
麹作りはまず、「種麹」と呼ばれる「麹菌」の胞子を蒸米にふりかけます。
次に米にまんべんなく胞子を根づかせるために「床もみ」という操作を行い、そのあと白布でくるんで静かに寝かせます。
麹菌がさかんに生育し始めると、蒸米を小さな箱・麹蓋に小分けする「盛り」を行います。
そして麹菌の生育に合わせて温度を管理します。
種麹をふりかけてからおよそ2昼夜。
米の一粒一粒は麹菌の繁殖により白くなってきます。そして焼き栗を思わせる香りの「麹」が出来上がります。
「麹」は、「酒母づくり」「もろみの仕込み」で蒸米のデンプンを糖に、タンパク質をアミノ酸に分解するなどの働きを担います。
日本酒の味には、この「麹」が重要な役割を果たします。
麹がよくなければ、その後の仕込みにどんなに精魂をこめようとも、よい酒は望めないと杜氏はいいます。