笑顔の絶えない
酒蔵で、
和醸良酒の
酒造りを目指す
1986年生まれ。安芸郡熊野町出身。2004年入社。2023年から四号蔵杜氏に就任。
(2024年4月現在)
四号蔵は社内で最も機械化された蔵です。最新の設備・技術を駆使することで、バラツキがなく、再現性の高い酒造りを実現しています。
一方で私は後輩たちと昔ながらの木桶仕込み生酛造りの復活に挑戦しています。生酛造りは、江戸時代から続く酒造りの原点ともいえる製法で、予測できない失敗も多いのですが、その深淵に触れれば触れるほど、今の酒造りに必要なことが見えてくる気がします。
私は「酒まつり」に行ったことをきっかけに酒造りに興味を持ち、賀茂鶴に入社しました。しかし最初に配属されたのは御薗工場の瓶詰め作業。「酒造りがしたくて入社したのに」と腐りかけていた自分に、「やりたいなら蔵に来ればいい」と声をかけてくれた先輩を頼りに蔵に通い、仕込みの作業を一つひとつ覚えました。「酒造りをしたい」という夢を諦めずに続けられたのは、先輩達のおかげです。
入社から8年後、調合部を経てやっと念願の醸造部に異動。その6年後には、頭(かしら)を任されました。担務が増えていく中、私は周囲と距離を取り、孤独に酒質を追求していました。でも次第に、そのやり方に疑問を持つようになりました。「和醸良酒」という言葉がありますが、酒は蔵人みんなが心を一つにして醸すもの。それが「蔵」という「場」であり、それこそが自分が求める酒造りなのではないかと気づいたのです。
現在、私が杜氏を務める四号蔵は様々な年代の人が働いていますが、蔵を見学した人から、「蔵の雰囲気が明るくていいね」とよく言われます。これからも「和醸良酒」を胸に刻み、みんなを笑顔にする美味い酒を醸し続けます。