太い幹が
あるから
僕達が
やんちゃできる
1978年広島市生まれ。1997年入社。2011年二号蔵杜氏に就任し、2013年には日本酒造技術研究連盟にて1位を獲得。
【全国新酒鑑評会 通算6回 金賞受賞】
(2022年6月現在)
私が担当する二号蔵は、三人の杜氏の中では一番こじんまりした蔵です。沖永杜氏の八号蔵が十数名の蔵人を擁する一方、私の蔵は5人。少量生産のお酒や実験的なお酒づくりを試みています。
実は杜氏を任される前、一度酒づくりの現場から離れたんですね。営業職です。毎日外に出てお客さまと話す経験はそれまでありませんでした。でもそれから、人はお酒に何を求めているのだろうか、賀茂鶴らしさとは何なのだろうか、と考えるようになりました。
ここ数年は「双鶴賀茂鶴」などの高級酒を手がける一方、残りのタンクで「古くて新しい」賀茂鶴の開発に携わっています。幻の酒米といわれてきた「広島錦」を、賀茂鶴酵母と呼ばれる協会五号酵母で醸し、新たな純米酒づくりに挑戦してきました。ここ数年の流行りは香りの華やかさですが、それでお米の旨味はどこまで楽しんでいただけるのか。また「つくり手の物語」を楽しんでいただくという風潮もありますが、それは酒席で向き合う大切な人との対話を邪魔しないのだろうか。新しい味を求めようとすればするほど、賀茂鶴の本質「アマからず、カラからず…」という中庸に戻っていくような気もしています。先輩方が築いてくださった大きな信頼があるからこそ僕たち若手がその太い幹の上でさまざまな枝葉を伸ばすことができます。いろいろ挑戦しないと申し訳ない。そしてその方々に胸を張って自慢できるお酒を必ず生み出してみせます。