わが社がなくなった時に、失ってしまうものは何だろうと考えました。
それは「日本酒文化」です。
わが社は、ユネスコの無形文化遺産として認められた和食の重要な構成要素で
ある「日本酒文化を守る」ためにこそ存在しています。
確実に人口減少が続くわが国では、日本酒業界の生存競争は益々激化することは必至です。その生存競争に勝ち残らない限り、パーパスを果たすことはできません。種の進化と同様に、ただ単に強い企業が生き残るのではなく、変化に順応した企業こそが生き残ります。しなやかに、そしてしたたかに環境の変化に対応しながら、安定した業績を継続し、200年、300年そして千年と続く企業を目指します。
日本酒の原料は米と水。だからこそ、素材の持つ個性と造り手の想いが一杯の酒の中に表れると私たちは信じています。
手間を惜しまず良質の米と水を守る人の心。伝統を受け継ぎ妥協のない酒造りに情熱を注ぐ蔵人の心。酒を味わいそのひとときを楽しむ人の心。
「酒中在心」酒の中に心あり。賀茂鶴で大切に守られてきた言葉を胸に、この広島から、心で醸す酒造りを伝えてまいります。
日本酒は、お客さまの口に入る食品です。醸造蔵から瓶詰工場や製品倉庫までの全工程において、食品工場としてのクオリティの維持向上に努め、安全・安心な製品をお客さまにお届けします。
さまざまなチャレンジを、期待しています。失敗することは、いくらでもあると思います。でも、「失敗は誰の責任か?」等の犯人さがしや「責任逃れ」に終始するような組織では、あってはならないと思います。
失敗の本質的な原因を冷徹に分析・把握し、「変化を恐れず」次のチャレンジに「失敗から学んだことを生かせる」組織でありたいと思います。
俳諧の理念の一つですが、「不易」は変わらないもの、「流行」は変わるもののことです。俳諧でも、他の何事でも、変わらないものを基本にしつつ、状況に応じて柔軟に変わっていくべきだということです。
6の「守破離」ともいろいろと通じるところがありますが、長寿企業の在りようを見ても、伝統を踏まえつつ一方では新しいものを取り入れることが大切であるということは明らかです。経営戦略・営業戦略・ブランディング等、大きな方向性を考える時に大事にして行きます。
甘からず、辛からず、ピンとしていて、旨口でサエがある酒が、賀茂鶴の原点です。この原点を大切にしつつ、多様なお客さまのニーズに対応すべく、新たな酒造りにも挑戦してまいります。
もとは千利休の訓をまとめた「利休道歌」にある、「規矩作法 守り尽くして破るとも離るるとても本を忘るな」を引用したとされています。
まずは教わった型を徹底的に「守る」ところから始め、自分に合ったより良いと思われる型を模索し試すことで、既存の型を「破る」ことができるようになる。さらに鍛錬・修行を重ねることで既存の型に囚われることなく、言わば型から「離れ」て自在となることができる。
酒造りの技術(道)も同じだと想います。
「型があるから型破り、型がなければ形無し」(十八代 中村勘三郎)
わが社は、創業以来地域と共に歩んできました。多くの地元ファンに支えられています。これからも、日本イコモス国内委員会から「日本の20世紀遺産20選」に選ばれた「西条酒蔵通り」の景観を守り、水を守り、酒蔵ツーリズムを推進し、地域の活性化に貢献してまいります。
ESGやSDG’sのうねりが、世界的に高まっています。わが社にできる ことを模索しながら、次の世代により良い環境を残すべく企業活動を行います。
コアバリューを大切にしながら、商品力・販売力の増強に努め、千年企業として安定した収益を計上し、日本酒文化を守り抜いてまいります。